ローカルクライミングと非公開プロジェクト

こんばんは、スタッフの宮嶋です^^

先日四国に行ってきました。公開エリアに関しては、過去のロクスノに載っていますね。ロクスノを愛読している方はよくご存じかと思いますが、四国には非公開のエリアもたくさんあります。

念のため補足しますと、非公開エリアというのは、駐車場がなかったり、危険であったり、地元の方の迷惑を考慮して公にされていないのです。非公開の場所は、どうしても行きたい人がマナーや地元を重んじた上で、なんとか情報を収集して自力で探していきます。軽々しく行っていいわけではないと私は思っています。

今回の旅は公開・非公開両方ともお邪魔させてもらいました。そして学ぶことの多かった良き旅でした。本当に書ききれないくらいたくさんのことを学びましたが、今回はローカルのクライミングと非公開プロジェクトやエリアについて感じたことをお話ししたいと思います。

今回の私たちは、ローカルではなく、外部からのビジターということになります。行くために私の旦那は地元のいろんなクライマーのブログを読んでいました。私もちょこちょこ読みました。そこで一つの課題に出会いました。過去のロクスノの表紙を飾った、干潮時1時間しかトライできない海岸のハイボール。あまりに美しいラインで、初登者の意向でグレーディングされていない課題でした。地元関係者のブログは、この課題の虜になっていました。未登というものに挑戦する気持ち、怖さ、畏敬の念。

実際わたしたちが行ったときは下地が数十センチ上がっていましたが、それでも高く感じました。じわじわ押し寄せてくる波。だんだん温かくなってくる潮風。初めて登る砂岩とその造形。美的な自然の造形物なのに、ボルダーとしての威厳たっぷりでした。だだっ広い海と空が、四国の自然の寛大さを感じさせてくれました。

ラインは見えましたが、私は完登することはできませんでした。ハイボール&砂岩という慣れない岩質。止まらなかった左サイドを止めた後は、これが最後かも、と思って右足を修正し、食い下がって仕切り直しましたがヌメって手を出すことを断念・・その後気温の上昇と迫りくる潮のプレッシャーに左サイドを止めることはできず。でもハイボールに対して心折れずに向き合えたと思っています。とりあえず、考え続けなければダメ。考えるのを止めたら怖くなるだけ。そんなことを教えてくれた課題でした。

グレーディングされていない。これは比べるものがないということで、初登者の粋な考えだなと思いました。ほかのボルダーと同じ土俵に上げない。それによって失われる価値があると思ったのでしょう。

実際は私でもとりつける課題・・プロクライマーにとってはきっと何のことはないのでしょう。でも、これを例えばトップクライマーが来てあっさり登ったとしたら。ローカルクライマーの、ボルダーに対する熱い思いを語ったブログもなければ、それを見て追随する人も感動する人もいなかったことになるのでしょう。岩や自然に挑戦する、美しいとする考え方。それによって地元を大切に思う気持ちは、ローカルの人だから受け継ぐことができるんじゃないかな。それに、うちの地元にはこんなに素晴らしいクライマーがいる!って思える。

もちろんプロの人も岩に対する思いはいっしょだと思う。ただ今回のことを思うと、エリアやプロジェクトを非公開にしたくなる気持ちは分かってしまう。以前非公開プロジェクトについて、サル座衛門さんのブログを引用したけど、こんな考え方もあるなと。

住んでいる人こそ、その土地を守れると思うから。

 

岩を求めて旅したくなる気持ちも大いにありますが、ローカルを大事にするのも意味深いなと思い始めています。岐阜にはフクベや恵那笠置山、こちらも非公開ですがげろっく・・。岩だけではなくて、地元の縁をだいじにしてかなきゃいけないなと思います。なかなか容易なことじゃないけど、気持ちだけは持っていたいな。

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